Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
そこは三吉がよく散歩に行く河岸である。石垣の下には神田川が流れている。繁華な町中に、こんな静かな場処もあるかと思われる位で、薄く曇った二月末の日が黒ずんだ水に映っていた。
船から河岸へ通う物揚場の石段の上には、切石が袖垣のように積重ねてある。その端には鉄の鎖が繋いである。二人はこの石に倚凭った。満洲の方の噂が出た。三吉は思いやるように、
「両雄相会して、酒でも酌むような時には――さぞ感慨に堪えないことだろうナ」
正太も思いやるような眼付をして、足許に遊んでいる鶏を見た。
水に臨んだ柳並木は未だ枯々として、蕭散な感じを与える。三吉はその枝の細く垂下った下を、あちこちと歩いた。やがて正太の方へ引返して来た。
「正太さん、君の仕事の方はどうなんですか――未だ遊びですか」
こう言って、石の上に巻煙草を取出して、それを正太にも勧めた。
正太は沮喪したように笑いながら、「折角、好い口があって、その店へ入るばかりに成ったところが……広田が裏から行って私の邪魔をした。その方もオジャンでサ」
「そんな人の悪いことを為るかねえ。手を携えてやった味方同志じゃないか」
「そりゃ、叔父さん、相場師の社会と来たら、実に酷いものです。