Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

とか「三吉君」とか言葉を掛けた。主人を始め、集って来る人達は大抵忠寛の以前の弟子であった。

「でも、忠寛先生の時分には――いくら無いと言っても――六七十俵の米は蔵に積んであった。皆な兄さんが亡くしたようなものだわい」

こう笑い話のようにして、高い酔った声で旧を語るものもあった。

人を避けて、復た三吉は縁側の障子の外へ出てみた。家は破れても、山々の眺望は変らずにある。傾斜の下の方には、石を載せた板屋根、樹木の梢などが見える。秋は深い。最早霜が来たらしい桑畠の中には、色づいた柿の葉が今にも落ちそうに残っている。

何となく時雨れて来た。

荒廃した街道について、三吉は故郷の村から美濃の方へ下りた。二里ばかり送って随いて来るものも有った。ある町へ出た。そこで名古屋行の汽車に間に合った。

正太が泊っているのはやはり株式に関係した人の自宅であった。三吉は名古屋へ入って、清潔な「閑所」の多い、格子窓の続いたある町の中に、その宿を見つけた。

「誰方?」

茶色な暖簾を分けて、五十近い年恰好の婦人が顔を出した。

「小泉です。橋本の叔父です」

叔父と聞いて、婦人は三吉を静かな奥深い客間へ案内した。