Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
「どうです。そうなすったら」と彼女が言った。豊世は、方角の好い旅舎を択んで、老婆と二人宿賃を出し合って、名残に一夜泊ることを約束して置いて来たから、折角ではあるが、成るならその旅舎から送られて発ちたいと言った。多くの家具を腹の立つほど廉く売払っても、老婆の給料まで悉皆払って行くことは覚束ない、いずれ名古屋から送る積りだ、とも言った。
「御勝手の道具で、売って幾何にも成らないようなものは、皆なあの老婆やに遣りましたよ」と豊世は附添えた。
お雪は別れの茶を汲んで来た。豊世は直樹の家へも暇乞に寄ったことを話した。種々な人の噂が出た。三吉は、正太がまだ若くて懇意にした人の中に、お春という娘のあったことなぞをめずらしく言出した。
「叔父さんはよくあんな人のことまで覚えていらっしゃいましたね。私がまだお嫁に来ない前のことでしょう。あの人も嫁いて、最早子供が幾人もあります」と豊世が言った。
「それはそうと」と三吉は笑いながら、「豊世さんを一つ嫌がらせることが有る。ホラ、名古屋で正太さんが泊ってる家の主婦さん……シッカリ者だなんて、よく貴方がたの褒めた……あの人が丹前なぞを造って、正太さんに着せてるといいますぜ――森彦さんが出て来た時、その話でした」