Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.411 caratteri · 285 schermate
お雪は直樹の家に近く引移って来たことを思った。
三吉は最早響の中に居た。朝の騒々しさが納まった頃は、電車の唸りだの、河蒸汽の笛だのが、特別に二階の部屋へ響いて来た。
「叔父さん、障子張りですか」
と言いながら、正太が楼梯を上って来た。正太は榊と相前後して、兜町の方へ通うことに成った。
「相場師が今頃訪ねて来ても好いのかね」と三吉は笑って、張った障子を壁に立掛けた。
「いえ、私はまだ店へ入ったばかりで、お客さまの形です。今ネ、一寸場を覗いて、それから廻って来ました」
正太は叔父の側で一服やって、袂から細い打紐を取出した。叔父の家にある額の釣紐にもと思って、途中から買求めて来たのである。彼はこういうことに好く気がついた。
壁には田舎屋敷の庭の画が掛けてあった。正太はその釣紐を取替えて、結び方も面白く掛直してみた。その画は、郊外に住む風景画家の筆で、三吉に取っては忘れ難い山の生活の記念であった。
三吉は額を眺めて、旧いことまでも思出したように、
「Sさんもどうしているかナア」
と風景画家の噂をした。正太はずっと以前、染物織物なぞに志して、その為に絵画を修めようとしたことが有る位で、風景画家の仕事にも興味を持っていた。