Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
春眠雑談
の金紙づくりの鎧を着用に及んで張ぼての馬を腰へぶら下げてヤアヤアといいながら蛸を追い廻すのである。蛸はブリキのかんを敲きながら走る。今一人の男はきりこのレンズの眼鏡を見物人へ貸付けてあるくのである。
この眼鏡を借りて、蛸退治を覗く時は即ち光は分解して虹となり、無数の蛸は無数の大将に追廻されるのである。蛸と大将と色彩の大洪水である。未来派と活動写真が合同した訳だから面白くて堪まらないのだ。私はこの近代的な興行に共鳴してなかなか動かず父を手古摺らせたものである。
私は、今になお彼岸といえばこの蛸めがねを考える。やはり相変らず彼岸となれば天王寺の境内へ現われているものかどうか、それともあの蛸も大将も死んでしまって息子の代となっていはしないか、あるいは息子はあんな馬鹿な真似は嫌だといって相続をしなかったろうか、あるいは現代の子供はそんなものを相手にしないので自滅してしまったのではないかとも思う。何にしても忘れられない見世物である。
春眠雑談
関東の空には、四季を通じて、殊に暑い真夏でさえも、何か一脈の冷気のようなものが、何処とも知れず流れているように私には思えてならない。