Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
何か見覚えのあるおやじだと思って考えると、それが文楽の人形使いであったり、落語家であったり、役者であったりする。
今は故人となった桂文団治なども、そのつるつる頭を薬湯へ浮かばせていたものであった。私の驚いたことには、彼の背には一面の桜と花札が散らしてあった。その素晴らしく美しい入墨が足にまで及んでいた。噂によると四十幾枚の札は背に、残る二枚の札は両足の裏に描かれてあるのだということである。その桜には朱がちりばめてあり、私の見た入墨の中で殊に美しいものの一つであり、その味は末期の浮世絵であり、ガラス絵の味さえあった。まず下手ものの味でもある。それは文団治皮として保存したいものである逸品だったがどうもこれだけは蒐集する気にはなれない。私はいつか衛生博覧会だったか何かで有名な女賊の皮を見た事があったが、随分美しいもので感心はしたが、入墨も皮になってしまっては如何にも血色がよくないので困る。
文団治は高座から、俺の話が今時の客に解るものかといって、客と屡次喧嘩をして、話を途中でやめて引下った事を私は覚えているので、この入墨を見た時、なるほどと思った。
しかし、彼の話は高慢ちきで多少の不愉快さはあったようだが、私はその芸に対する落語家らしい彼の執着と意気に対して、随分愛好していたものだった。