Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
左側の部屋では憎々しい男が四、五名の芸者と寝ながら花札を弄んでいます。その隣その隣と考えるとまったく悲観せずにはいられません。
総体が遊びであります。画家は仕事です。それでは憤然としてここを立ち去るとしますか、どこへ行っても大同小異です。思い切ってトワールを張って、何かいい場所を探し当てに出てみるとします。かなり神経がゆがんでしまっているので何を見ても一向つまらない風景に見えて来ます。汗だらけになって白いトワールを提げたまま舞いもどります。また大袈裟な玄関が気にかかります。また女中が眺めます、番頭が眺めます、男女の客が眺めます、気持ちは暗くなるばかりです。
天候のことも考えます。滞在一週間の予定が翌日から雨と来ます。もう仕事は出来ない上に、心労は増します。私は雨の日の旅館の退屈は思っても堪らないのです。立ってみたり坐ってみたり、寝てみたり起きてみたり、いらいらして来て終いには悲しくなって腹が立って来ます。すると隣近所の人情がますます気にかかり出します。
もう一刻も猶予がなりません、描きかけの絵はぬれたまま巻きこんでしまって、取り敢えず宿屋から逃げ出します。