Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
私も不愉快だが他人はそんな時、彼は狸だよ、喰えないということがある。この二つの相反せる心が作用すると狸の性格と見えるのかも知れない。
しかしながら万一それが狸であったとしても、狸の欺し方というものは大体さほどに深刻なものではないと思う。時に深夜の腹芸によって、不眠の夜の御機嫌を伺い奉る位のものではないかと私は考えている。あるいは逃げ出す時、小便をもって桜の花の満開位は見せたいのだが、とても私にはまださような神通力は備わっていない。
(「美術新論」昭和五年五月)
明月で眼を洗う
私の十歳位であった頃の記憶によると、私は母や女中たちとともに、それは盆の満月だったか、仲秋の明月だったかを忘れたが、まだ多少暑い頃だったが、その明月の夜に道頓堀川へ眼を洗いに毎年の行事として出かけたものであった。その頃の道頓堀川は今の如くジャズとネオン灯と貸ボートの混雑せる風景ではなかった。ようやく芝居の前のアーク灯という古めかしく青い電灯がうようよと夏の虫を集め、宗右衛門町の茶屋の二階に暗いランプが点っていたに過ぎなかった。
川水は暗くとろんと飴の如く流れて月を浮かべていた。