Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
私はまだ機関車の火の粉の前にいる気がした。「一と思いに、な」といったR子の声が強く耳にのこって消えない。私は何か適当な紐かナイフを求めたが、厳重に警戒されていた。
R子はその場で粉砕されたことが、だんだん私に知れて来た。
7
その寺院は、ちょうど箱根の環翠楼とか何とかいうべきある山中に、多くの客室を持てる大寺院だった。信者は都会および全国に行き渡っていた。そして株屋、相場屋等が信者の中でも主位を占めていた。院主は金襴の法衣によって端麗であり、羽左衛門そのものであった。
私は幾月間かの修業によって、得度の式を挙げさせてもらった。商人であったその才能と温順さが認められたものか間もなく取り立てられて院代様にまで成り上がろうとした。それには今少し学問が必要でもあったので私はK市へ下宿した。生まれて初めて洋服を着用した。もちろん金ボタンの大学の制服だった。角帽を被った。その意気な形はそのころの壮士芝居のスター秋月桂太郎を思わせた。芸者がきっと惚れるだろうとも思ってみた。間もなく私は髭を蓄えてみた。自分の幸福もいよいよ表通りへ出て来たなと思ってみた。