Classici giapponesi con furigana
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いけぶくろのみせ
山之口貘詩文集
山之口 貘
Leggi 山之口貘詩文集 (いけぶくろのみせ) di 山之口 貘 (やまのくちばく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.477 caratteri · 93 schermate
だが、真先に、女房とこどもからの抗議なのである。旅行先から、一枚のはがきさえ便りも寄越さなかったからなのである。なにしろ、述べたように、頼まれた原稿など、何一つとして一行さえも書けないで、鬱々とつづいているところなので、一枚のはがきのことから、つい妙なことになってしまった。
女房は顔を赤くして怒り、「よっぽど、捜索願を警察に突き出してやろうかとおもった」と向うむきのまま云ったりしたのである。あとでの話によると茨城にいた義兄が、新聞でぼくの沖縄行を知り、「まさか、行きっきりになるんじゃあるまい」と、その義弟に不安をもらしたとのことであるが、女房側の親兄弟の間では、はじめからぼくのことを遠いところの人であるとして、それを気にしているようで、亡くなった義母も、「遠いなあ」と云って、ぼくらの結婚に一抹の不安を持っていたことなどおもい出すのである。なにしろ一ヵ月の予定が二ヵ月にのびたのであったから、そのことだけでも一本のはがきは出せる筈なのに、と彼女はぐちをこぼした。
さて、折角、東京に帰って来ても、外出することができないのである。帰京のあいさつをしなくてはならないのであるが、約束の原稿が気になるのである。