Classici giapponesi con furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Leggi 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.247 caratteri · 229 schermate
あの人はすっかり決心をして、私に最後の思い出の花環を送っておいてから、妾にあうことができなくなったので、せめてもと、妾の舞台の姿を見ながら息をひきとることにきめたのです。妾が気のついた時のあの人の表情は、妾と妾の新しい、恋人の谷村とを舞台で見たための苦しみと、モルヒネ中毒による苦しみとのためだったのです。谷村と妾との関係はすぐにあの人に直覚されたにちがいありません。
むろん妾はその日限りで舞台に出ることも、谷村にあうこともやめて(谷村に対して妾の心が動いたのはほんの一時の反動だったのですからそれからあわないことはちっとも苦痛じゃありませんでした)、あの人の思い出だけを心に抱きしめて、このことを発表するだけのために今まで生きてきたのです。これからさき生きてゆけるかどうかは神さまだけがご存じでしょう。もし妾が神さまの名を口にしてよいとすれば。