Classici giapponesi con furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Leggi 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.247 caratteri · 229 schermate
三
死体の付近には血のあとは少しもなく、死体そのものにも、ちょっと見たところ外傷はなかったので、自然死ではないかと思われたが、医師の検案の結果、頭部の打撲による内出血のために死んだものであることがわかった。しかも、明らかに凶器として使用されたらしい棒杭が、死体から一間ばかりはなれたところに投げすてられて、霜をかぶっていた。その棒杭は林の庭の垣からひきぬいたものであることもすぐにわかった。死体はまるで氷詰めにされたようなもので、まだ生々としてはいたが、氷や霜だけから見ても、少なくも、夜半の十二時までには落命していたものであることが素人にでもわかったし、医師の意見もそうだった。
そのうちに、地方裁判所の一行も現場へ到着した。八時半頃になって、署長と検事とが立会で証拠人の仮審問がはじまった。
下田の細君、下田、安田という順序で、死体発見のときの様子が、だいたい私が前に述べたような順序で、主として下田の口から答えられ、他の二人は、それを確認した。
それがすむと、被害者の身元調べになった。ところが、未亡人は、被害者すなわち自分の夫の年齢も、原籍も、職業すらも答えることができなかった。