Classici giapponesi con furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Leggi 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) di 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 113.247 caratteri · 229 schermate
三
ばいったい私はどんな顔をしていたっけ? 私は自分の顔を忘れてしまったような気がした。どうしてもはっきり頭にうかんでこない。今すぐに急いで鏡を見て、私の顔に先天的についているらしい、人を嫌悪させる正体を見届けねば居てもたってもいられないような気がした。
三
夜はだいぶ更けた。有り難いことには月の夜である。それに、動物にも明かりが必要なのか、それとも夜中に人間が見回る必要があるのか、動物園の中には方々に電灯がついている。
私は恐る恐る陰気なかくれ場所を抜け出し、石垣に足をかけて、水路を爬い上がった。誰も見ている者はない。私は橋の下に立っているうちに、このことは予め計画しておいたので、少しも躊躇する必要はなかった。で注意深く下駄を脱いで、四つん這いになって、橋の袂の道を横ぎった。
この橋の下手の左側に、二羽の丹頂の棲んでいる鉄柵でこしらえた、円形の檻があり、檻の周囲は、ローマの円形劇場か、両国の国技館の観覧席のように爪先上りになって、その場所全体が擂鉢形をしている。そしてこの観覧席にあたる傾斜面には人間の腰の辺りまでありそうな熊笹が一面に生え茂っている。