Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

Leggi 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.367 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

口措かずにぶツくさ言いながら堤を下りて赤松の林を通抜け、舗石道について丸い石門の中へ入って行く。

人が住まなくなってからもう余程になると見え、舗石の間からは雑草が萌え出し、屋根から墜ちて砕けた緑色の唐瓦が、草の間に堆高く積んでいる。石の階段は雨風に打たれて弓状に沈み、石の高麗狗は二つながらごろりと横倒しになっている。

蔓草は壁に沿って檐まで這上り、唐館は蜻蛉や羽蟻の巣になっていると見えて、支那窓からばったや蜻蛉がいくつも出たり入ったりしている。どこもかしこもおどろおどろしいばかりに荒れ果てゝいるうちに、唐櫺子の朱の色だけが妙に鮮で、如何にも不気味である。

源内先生は格別気にもならない風で、今迄の急込み方と反対に、今度はいかにものんびりと石の階段を踏上って行く。

喜字格子の戸を押して中へ入ると、館が厚い石造のところへもって来て窓が小さいから部屋の隅々が澱んだように暗い。

入ったところは玄関の間といった体裁で、床一面に蓆籘が敷詰めてある。次の押扉を押すと部屋かと思いのほか長い廊下になっていて、その両側に交互に部屋の扉がついている。

たぶん隠し天窓でもあるのだろう、何処から来る光か知らぬが、暗い筈の廊下が遠くまでぼんやりと薄明るくなっている。