Classici giapponesi con furigana
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ふくいんさつじんじけん
復員殺人事件
Leggi 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.621 caratteri · 195 schermate
「ワシは五合ほどの定量をのんだゞけだが、こう、ねむたいのは、まるで、一升以上の度を超した時のようだ」
「ちょッと診察させていたゞきましょう」
「君たちは、ワシを診察するために来たワケではなかろう」
由之はちょッと凄みのある気勢を示した。大矢捜査主任は正面へまわってニコニコと顔を見せて、
「倉田さん。しばらくですね。あなたは、自宅に殺人事件の起ったことを、まだ御存知ないようですな」
「殺人?」
由之は驚いて上体を硬直させた。
「左様。隣室で滝沢夫人が射殺されておりますし、復員した安彦氏も自室で絞殺されております。そのうえ、美津子さん、由子さん、あなたは、いずれも催眠薬でもりつぶされているのです」
由之は、しばらく、口をつぐんでいた。硬直した彼の表情がだん/\冷静にもどった。そうすると、彼の眼がまた、眠たさに澱んできた。
「とにかく、ねむらせて下さい。大矢さん。ワシはねむらなければ、どうにもならない」
「えゝ、もう朝まではお邪魔いたしませんから、ともかく、診察をうけて下さい」
由之は、さからわなかった。医師はこれにもブドー糖を注射した。
「熟睡すれば、治るでしょう。