Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Leggi 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) di 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.735 caratteri · 290 schermate

Aozora Bunko

もちろん、分かるわけはなかった。同じ七十の顔から、それがだれであるか見分けることのできなかったのはもちろんだった。

6

前田鉄工場の職工たちは観桜会のその場から、ことごとく警察に挙げられた。そして、前田弥平氏絞殺のことについては夜を徹して厳重な取調べが続いた。しかし、だれもそれを自白する者はなかった。

「……では、だれじゃないかな? ぐらいの想像ならつくだろう」

係の警察官はそう訊くより仕方がなかった。

「それが、どうも。七十人近くの人間がみんな同じ着物、同じ顔をしていたものですから……」

「いったい、あの仮装はどっちが考えたのかね? 工場主のほうで考えたのか? それとも、きみたちのほうが考えたのかね?」

「あれは工場主のほうで考えて、必ずその仮装をして出るようにとのことでしたもんですから……」

「分からん! どうも分からん!」

係の警察官はそう言って、頭を振るより仕方がなかった。

「工場主はいったい、なぜあんな仮装をきみたちにさせたのかね? 何か目的があったのだと思わないかね?」

「わたしたちには分かりませんです」

「どうも不思議だ」

「でも、工場主が職工たちとの間を親密なものとしようとして、花見をしたことだけは分かります」