Classici giapponesi con furigana
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あくにんのむすめ
悪人の娘
野村 胡堂
Leggi 悪人の娘 (あくにんのむすめ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.405 caratteri · 27 schermate
三
闇に吸い込まれるように、一つ一つ街の灯が消えると、橋の上も次第に淋しくなるばかりです。この上一人の娘と、その後をつける若い男とが、橋の上を往復していたら、橋詰のお巡りさんも気が付かずには居ないでしょう。いい加減にして、娘へ声をかけて見ようかしら、……鳴海司郎は、丁度そんな事を考えて居る矢先でした。
何時の間にやら橋の中程に立った娘、暫らく魅入られるように、川面を差しのぞいて居りましたが、やがて、ゾッとしたように身を引くと、自分の肩を深々と掻き抱いて、しょんぼり其処に立ち尽して居ります。
それも併し、ほんの暫らくの事でした、も一度欄干の上に、今度は二枚の袖を重ねて、つくづく夜の水に見入って居りましたが、いきなり、履いて居る紅緒の草履を脱ぐと、上半身を凭れ加減に乗り出して、大川の黒の水の上へスルスルと落込もうとします。
「アッ待った」
鳴海司郎思わず声をあげて飛び付きました。
三
身投を助ける手順は、くだくだしく申すまでもありません。
相手が生活苦にしいたげられた老人とか、ヒステリーの婦人などと違って生活意識の強い若々しい娘だけに、止められれば止められたなり、素直に止してくれたのは仕合せでしたが、その代り、どんなに問い訊しても、「どうして死ぬ気になったか」