Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

それらはそれとしていちばん葉子を失望させたのは同棲後始めて男というものの裏を返して見た事だった。葉子を確実に占領したという意識に裏書きされた木部は、今までおくびにも葉子に見せなかった女々しい弱点を露骨に現わし始めた。後ろから見た木部は葉子には取り所のない平凡な気の弱い精力の足りない男に過ぎなかった。筆一本握る事もせずに朝から晩まで葉子に膠着し、感傷的なくせに恐ろしくわがままで、今日今日の生活にさえ事欠きながら、万事を葉子の肩になげかけてそれが当然な事でもあるような鈍感なお坊ちゃんじみた生活のしかたが葉子の鋭い神経をいらいらさせ出した。始めのうちは葉子もそれを木部の詩人らしい無邪気さからだと思ってみた。そしてせっせせっせと世話女房らしく切り回す事に興味をつないでみた。しかし心の底の恐ろしく物質的な葉子にどうしてこんな辛抱がいつまでも続こうぞ。結婚前までは葉子のほうから迫ってみたにも係わらず、崇高と見えるまでに極端な潔癖屋だった彼であったのに、思いもかけぬ貪婪な陋劣な情欲の持ち主で、しかもその欲求を貧弱な体質で表わそうとするのに出っくわすと、葉子は今まで自分でも気がつかずにいた自分を鏡で見せつけられたような不快を感ぜずにはいられなかった。