Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

一五

とだんだん語尾を消してしまった。なんという可憐さ……葉子はさらに岡にすり寄った。岡は真剣になって顔まで青ざめて来た。

「お気にさわったら許してください……僕はただ……あなたのいらっしゃる所にいたいんです、どういうわけだか……」

もう岡は涙ぐんでいた。葉子は思わず岡の手を取ってやろうとした。

その瞬間にいきなり事務長が激しい勢いでそこにはいって来た。そして葉子には目もくれずに激しく岡を引っ立てるようにして散歩に連れ出してしまった。岡は唯々としてそのあとにしたがった。

葉子はかっとなって思わず座から立ち上がった。そして思い存分事務長の無礼を責めようと身構えした。その時不意に一つの考えが葉子の頭をひらめき通った。「事務長はどこかで自分たちを見守っていたに違いない」

突っ立ったままの葉子の顔に、乳房を見せつけられた子供のようなほほえみがほのかに浮かび上がった。

一五

葉子はある朝思いがけなく早起きをした。米国に近づくにつれて緯度はだんだん下がって行ったので、寒気も薄らいでいたけれども、なんといっても秋立った空気は朝ごとに冷え冷えと引きしまっていた。葉子は温室のような船室からこのきりっとした空気に触れようとして甲板に出てみた。