Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

そのくせその態度は反対にますますたよりなげなやる瀬ないものになっていた。倉地の広い胸と太い腕との間に羽がいに抱きしめられながら、小鳥のようにぶるぶると震えて、

「ほんとうに離してくださいまし」

「いやだよ」

葉子は倉地の接吻を右に左によけながら、さらに激しくすすり泣いた。倉地は致命傷を受けた獣のようにうめいた。その腕には悪魔のような血の流れるのが葉子にも感ぜられた。葉子は程を見計らっていた。そして男の張りつめた情欲の糸が絶ち切れんばかりに緊張した時、葉子はふと泣きやんできっと倉地の顔を振り仰いだ。その目からは倉地が思いもかけなかった鋭い強い光が放たれていた。

「ほんとうに放していただきます」

ときっぱりいって、葉子は機敏にちょっとゆるんだ倉地の手をすりぬけた。そしていち早く部屋を横筋かいに戸口まで逃げのびて、ハンドルに手をかけながら、

「あなたはけさこの戸に鍵をおかけになって、……それは手籠めです……わたし……」

といって少し情に激してうつむいてまた何かいい続けようとするらしかったが、突然戸をあけて出て行ってしまった。

取り残された倉地はあきれてしばらく立っているようだったが、やがて英語で乱暴な呪詛を口走りながら、いきなり部屋を出て葉子のあとを追って来た。