Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate
一八
暴力は愚かなこった。殺したくなれば殺しても進んぜるよ」
葉子はその最後の言葉を聞くと瞑眩を感ずるほど有頂天になった。
「あなたに木村さんというのが付いてるくらいは、横浜の支店長から聞かされとるんだが、どんな人だか僕はもちろん知りませんさ。知らんが僕のほうがあなたに深惚れしとる事だけは、この胸三寸でちゃんと知っとるんだ。それ、それがわからん? 僕は恥も何もさらけ出していっとるんですよ。これでもわからんですか」
葉子は目をかがやかしながら、その言葉をむさぼった。かみしめた。そしてのみ込んだ。
こうして葉子に取って運命的な一日は過ぎた。
一八
その夜船はビクトリヤに着いた。倉庫の立ちならんだ長い桟橋に“Car to the Town.Fare 15¢”と大きな白い看板に書いてあるのが夜目にもしるく葉子の眼窓から見やられた。米国への上陸が禁ぜられているシナの苦力がここから上陸するのと、相当の荷役とで、船の内外は急に騒々しくなった。事務長は忙しいと見えてその夜はついに葉子の部屋に顔を見せなかった。そこいらが騒々しくなればなるほど葉子はたとえようのない平和を感じた。