Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

葉子はパラソルを杖に弱々しくデッキを降りて、古藤に助けられながら改札口を出たが、ゆるゆる歩いている間に乗客は先を越してしまって、二人はいちばんあとになっていた。客を取りおくれた十四五人の停車場づきの車夫が、待合部屋の前にかたまりながら、やつれて見える葉子に目をつけて何かとうわさし合うのが二人の耳にもはいった。「むすめ」「らしゃめん」というような言葉さえそのはしたない言葉の中には交じっていた。開港場のがさつな卑しい調子は、すぐ葉子の神経にびりびりと感じて来た。

何しろ葉子は早く落ち付く所を見つけ出したかった。古藤は停車場の前方の川添いにある休憩所まで走って行って見たが、帰って来るとぶりぶりして、駅夫あがりらしい茶店の主人は古藤の書生っぽ姿をいかにもばかにしたような断わりかたをしたといった。二人はしかたなくうるさく付きまつわる車夫を追い払いながら、潮の香の漂った濁った小さな運河を渡って、ある狭いきたない町の中ほどにある一軒の小さな旅人宿にはいって行った。横浜という所には似もつかぬような古風な外構えで、美濃紙のくすぶり返った置き行燈には太い筆つきで相模屋と書いてあった。