Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate
「隣室も明いていますか……そう。夜まではどこも明いている……そう。お前さんがここの世話をしておいで?……なら余の部屋もついでに見せておもらいしましょうかしらん」
女中はもう葉子には軽蔑の色は見せなかった。そして心得顔に次の部屋との間の襖をあける間に、葉子は手早く大きな銀貨を紙に包んで、
「少しかげんが悪いし、またいろいろお世話になるだろうから」
といいながら、それを女中に渡した。そしてずっと並んだ五つの部屋を一つ一つ見て回って、掛け軸、花びん、団扇さし、小屏風、机というようなものを、自分の好みに任せてあてがわれた部屋のとすっかり取りかえて、すみからすみまできれいに掃除をさせた。そして古藤を正座に据えて小ざっぱりした座ぶとんにすわると、にっこりほほえみながら、
「これなら半日ぐらい我慢ができましょう」
といった。
「僕はどんな所でも平気なんですがね」
古藤はこう答えて、葉子の微笑を追いながら安心したらしく、
「気分はもうなおりましたね」
と付け加えた。
「えゝ」
と葉子は何げなく微笑を続けようとしたが、その瞬間につと思い返して眉をひそめた。葉子には仮病を続ける必要があったのをつい忘れようとしたのだった。