Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate
それで、
「ですけれどもまだこんななんですの。こら動悸が」
といいながら、地味な風通の単衣物の中にかくれたはなやかな襦袢の袖をひらめかして、右手を力なげに前に出した。そしてそれと同時に呼吸をぐっとつめて、心臓と覚しいあたりにはげしく力をこめた。古藤はすき通るように白い手くびをしばらくなで回していたが、脈所に探りあてると急に驚いて目を見張った。
「どうしたんです、え、ひどく不規則じゃありませんか……痛むのは頭ばかりですか」
「いゝえ、お腹も痛みはじめたんですの」
「どんなふうに」
「ぎゅっと錐ででももむように……よくこれがあるんで困ってしまうんですのよ」
古藤は静かに葉子の手を離して、大きな目で深々と葉子をみつめた。
「医者を呼ばなくっても我慢ができますか」
葉子は苦しげにほほえんで見せた。
「あなただったらきっとできないでしょうよ。……慣れっこですからこらえて見ますわ。その代わりあなた永田さん……永田さん、ね、郵船会社の支店長の……あすこに行って船の切符の事を相談して来ていただけないでしょうか。御迷惑ですわね。それでもそんな事までお願いしちゃあ……ようござんす、わたし、車でそろそろ行きますから」