Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate
そういってるうちに木村は棚から箱をおろして中をのぞいていたが、
「なるほど型はちっと古いようですね。だが品はこれならこっちでも上の部ですぜ」
「だからいやですわ。流行おくれとなると値段の張ったものほどみっともないんですもの」
しばらくしてから、
「でもあのお金はあなた御入用ですわね」
木村はあわてて弁解的に、
「いゝえ、あれはどの道あなたに上げるつもりでいたんですから……」
というのを葉子は耳にも入れないふうで、
「ほんとにばかねわたしは……思いやりもなんにもない事を申し上げてしまって、どうしましょうねえ。……もうわたしどんな事があってもそのお金だけはいただきません事よ。こういったらだれがなんといったってだめよ」
ときっぱりいい切ってしまった。木村はもとより一度いい出したらあとへは引かない葉子の日ごろの性分を知り抜いていた。で、言わず語らずのうちに、その金は品物にして持って帰らすよりほかに道のない事を観念したらしかった。
* * *
その晩、事務長が仕事を終えてから葉子の部屋に来ると、葉子は何か気に障えたふうをしてろくろくもてなしもしなかった。