Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate
母の写真を前に置いといて、わたしはそんな事までする人間ですの。おあきれになったでしょうね。いやなやつでしょう。あなたのような方から御覧になったら、さぞいやな気がなさいましょうねえ」
「えゝ」
と古藤は目も動かさずにぶっきらぼうに答えた。
「それでもあなた」
と葉子は切なさそうに半ば起き上がって、
「外面だけで人のする事をなんとかおっしゃるのは少し残酷ですわ。……いゝえね」
と古藤の何かいい出そうとするのをさえぎって、今度はきっとすわり直った。
「わたしは泣き言をいって他人様にも泣いていただこうなんて、そんな事はこれんばかりも思やしませんとも……なるならどこかに大砲のような大きな力の強い人がいて、その人が真剣に怒って、葉子のような人非人はこうしてやるぞといって、わたしを押えつけて心臓でも頭でもくだけて飛んでしまうほど折檻をしてくれたらと思うんですの。どの人もどの人もちゃんと自分を忘れないで、いいかげんに怒ったり、いいかげんに泣いたりしているんですからねえ。なんだってこう生温いんでしょう。
義一さん(葉子が古藤をこう名で呼んだのはこの時が始めてだった)あなたがけさ、心の正直ななんとかだとおっしゃった木村に縁づくようになったのも、その晩の事です。