Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.981 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

それを見ると葉子は骨肉のいとしさに思わずほほえませられて、その寝床にいざり寄って、その童女を羽がいに軽く抱きすくめた。そしてしみじみとその寝顔にながめ入った。貞世の軽い呼吸は軽く葉子の胸に伝わって来た。その呼吸が一つ伝わるたびに、葉子の心は妙にめいって行った。同じ胎を借りてこの世に生まれ出た二人の胸には、ひたと共鳴する不思議な響きが潜んでいた。葉子は吸い取られるようにその響きに心を集めていたが、果ては寂しい、ただ寂しい涙がほろほろととめどなく流れ出るのだった。

一家の離散を知らぬ顔で、女の身そらをただひとり米国の果てまでさすらって行くのを葉子は格別なんとも思っていなかった。振り分け髪の時分から、飽くまで意地の強い目はしのきく性質を思うままに増長さして、ぐんぐんと世の中をわき目もふらず押し通して二十五になった今、こんな時にふと過去を振り返って見ると、いつのまにかあたりまえの女の生活をすりぬけて、たった一人見も知らぬ野ずえに立っているような思いをせずにはいられなかった。女学校や音楽学校で、葉子の強い個性に引きつけられて、理想の人ででもあるように近寄って来た少女たちは、葉子におどおどしい同性の恋をささげながら、葉子に inspire されて、われ知らず大胆な奔放な振る舞いをするようになった。