Classici giapponesi con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate
「あれの方でも探しているかも知れないのだ。だが何となく盲同士のような気もするのだ。」
笏は、あたりを眺めながら、縁端へ来て何時までも佇って影を求めている、やせ細っている己が妻を哀れに思うた。
「わたくし、こうして手をさしのべていますと、掌が温かいような気がいたしますの。あたまが恰度ふれてくるように。」
女は、右の手のひらを伸ばして、何かに触れてでもいるように、宙に浮しながら目を凝らしていた。――笏には、その手の下に、誰かが背延びをしながら、なおそれにとどかないでいる姿を描くには、何のさまたげもなかった。
「だが、そんなことを為るものではない、気味の悪い。」
「え、」
女は、手を引込めた。
女は、夫のいる縁側へ来た。ふたりとも、ぼんやりと庭をながめていた。疲れているというほどでもないが、ぼんやりと凡ては夢のうちにある気がしていた。一秒間がふしぎに十年も二十年も経つような退屈な時間が、ゆるく廻っているようでもあった。わけても笏には、途方もない大きな車の輪が、のろくゆるく廻っていて、その轍の間に、誰かが挟まっているような気がした。それは、童子でもありないようでもあった。