Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どうじ

文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子

室生 犀星

Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate

Aozora Bunko

香爐を盗む

男が出かけようとすると、何時の間にか女が音もなく玄関に立っていて、茶色の帽子をさし出した。男はそれを手にとると格子をあけて出て行った。女はしばらくぼんやり立っていたが、間もなく長火鉢のところにぐったりと坐って、いつまでも動かないでいた。それは女のくせで、いつも男が出て行ったあとは考え込んで、すっかり陰気になって、なにも手のつかない一二時間をぼんやりして送るのが常である。そして考えつかれるとやっと縫物をはじめるのだ。海苔のような布片を杓るようにして、暗い糸を通したりしていた。そういう一時間が経つと、かの女はまた上目をしながら神経深くなって、何か繊かい感情の上のことや、茶碗のふちが、少しばかり欠けたことや、男の出掛けぎわに故意と視線を外らしたことや、口へまで出てわざと黙った素振りをしたことなどが、つぎからつぎと考えられた。その考えにふければふけるほど、しぜん仕事が留守になってしまって、あけた障子のそとのあかりを茫然と上目をしながらながめるのであった。

実際、女は日に日に瘠せおとろえていたのである、あごの尖ったのや、ほっそりと顔全体が毎日鉋をかけたように剥がれてゆくのや、病的に沈みきって蒼みをもった皮膚が、きみの悪いほど艶を失って、喉のあたりまで白く冷たく流れこんでいるのや、それらは永く正視できないほど憂鬱