Classici giapponesi con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate
不思議な国の話
そのころ私は不思議なこころもちで、毎朝ぼんやりその山を眺めていたのです。それは私の市街から五里ばかり隔った医王山という山です。春は、いつの間にか紫ぐんだ優しい色でつつまれ、斑ら牛のように、残雪をところどころに染め、そしていつまでも静かに聳えているのです。その山の前に、戸室というのが一つ聳えていましたが、それよりも一層紫いろをして、一層静かになって見えました。
「あの山は何て山じゃ。あの山の奥は何処にあるのじゃ。」
そう私は私の姉にたずね、山という不思議な、まだ私たちの見たことのない国に、何かしら私たちに近いものが住んでいるような気がしました。そう言っても天上の星族になお私たち人類が生息しているというような想像よりも、ずっと親しい問題だったのです。姉はそんなとき、
「あれはお前、薬草がたくさん生えている山なんですよ。それで医王山という名前がついているんです。」
「薬草って、どんなもの。」
「どんなものって、姉さんだってすっかり知っているわけじゃないんですけれどね。あの山の頂に、蒼い池があるそうだよ。いつのころからあるのか知らないけれど、それは古い、そして青い底をした水の冷たい池があるんですよ。