Classici giapponesi con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate
」男は鼻さきであしらった。「あれは何処からきこえてくると思いなさる。」
「向う岸からさ。」
強そうな青年はそう答えました。
「お前さんらの耳は遠耳という奴でな、近いところが分らないのさ。」
男はにくらしげにそう言って、こんどはガラスの箱のふたを除けたのでした。すると一時に向う岸からして来た唄が、このガラスの箱の中から起ってくるのでした。水のおもてに白い魚がきれいに列んで、泳ぎながら美しい声をそろえて唄っているのであった。みんなは驚いて今さらのようにこの珍らしい魚を眺めるのでした。
「たった十銭!」
男はそう言ってガラスの箱のふたをするのだった。唄は波が引いてゆくときのように遠退いて、ふたが閉されると同時にまた向う岸から起ってくるようでした。夜はますます蒼く何時とはちがった夜のように思えるのでした。
李一はそのとき不図誰かが耳にささやいていることに気がついたのです。まるで少女の声のような優しみのある声であった。
「どうぞ、わたくしをお買いくださいまし。わたくしはあなたの住んでいらっしゃる海にいるものです。わたくしを助けて海の中へお放しくださいまし。あなたが今お買いくださらなければわたくしはどうなるか分りません。