Classici giapponesi con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate
「母さまが悪かった、――お前が悪いのではない……。」
暫らく経ってから母親は娘を抱きすくめ、そして髪をなでながら優しく言った。娘は一そう悲しくなって泣き出した。
「母さま、なぜお父さまとああいう目付をなさいますの。わたしあんなときに、どこかで、ああいう眼をいくどもいくども見たことがあるような気がして、それを考えようとして、考えあてられなくて辛い気がいたしますの。」
母親は娘の目を見た。そしてはっきりした声で
「それはお前の考えちがいですよ、あんないやらしい諍いはわたしだちは今日はじめてしたんですよ、それをお前が見たことがあるなんてことはありません。」
「いえ、いえ、わたしずっと古くに、そう、まだ何んだか知らないときに見たことがありますの。」
母親は黙って娘のくちをふさごうとした。娘はその手を払い退けようとあせりながら、指の間から漏れたこえを出した。
「わたしは怖い――何んだか一杯にいろいろなものが見えてくるんですもの。」
「何が……。」
「あんなに怖い眼ばかりが見えてくるんです。」
母親は狼狽てて娘の耳もとでささやいた。
「お前はつまらないことを考え出さないでおくれ、此処まで来て母さまの気を狂わさないでおくれ。