Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.353 caratteri · 371 schermate
光秀は、躁ぐ色もなく、
「――では、上ノ条五郎どのの手の者か。それとも、庄司予十郎どのの手下か。飯村典膳どのか、小森小十郎どのの手飼か」
と、たて続けに、伊勢の土豪の名を云いならべた。
余りに味方の土豪をよく知っているので、敵の兵も、さては織田の侍ではなかったのかと、やや気をゆるして、
「いかにも、俺たちは、員弁郡の土豪、庄司予十郎が手飼の者だが、汝はいったい何処の何者か。そして何処へ行くか」
と、訊ね直した。
光秀は、隠しもせず、
「それがしは、織田家の臣、明智十兵衛というものだが、わが禅学の恩師で、員弁郡の持福寺におらるる勝恵上人をお訪ねしてゆく途中である」
と、いった。
「上人へ何の用か」
との問いに、
「敵国なれど、近くまで出陣して参ったものを、お眼にもかからず、矢弾を師の在わす郷へ射ち込むのは、師弟の情、忍び難いここちがいたすので、これから御挨拶をしに行こうと存ずる」
と、答えた。
彼を囲んだ兵は、伊勢の家中の士ではなく、土豪の兵だったので、臨機にそういったのであった。勝恵上人が、この地方で、よく土民の尊敬をうけていることを知っていたからである。