Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.353 caratteri · 371 schermate
此邸に客として泊っていた旅僧でもあろうか、まだ四十前後の中年の僧だった。武士のような筋骨と、太い眉をもっている。わけて眼につくのは、その大きな朱い唇であった。
小六は、わが家の客僧が、かえって藤吉郎へ味方するような口吻に、
「和尚。何が慮外か」
と、正視した。
「さればじゃ。そこにおらるる使者の言葉にはそむき得ぬ道理がある。この郷土も、尾張一国も、すべて一信長や一蜂須賀のものではない、万乗の君のしろしめすものであるという――木下殿の言に、否と、あなたは云い断れるか」
「…………」
「仰せられまいが。……その国是に不満なりといわば、万乗の君に、逆意を抱くも同じことであると、またも、彼の雄舌に捲くし立てられるにちがいない。それゆえ、一応はお坐りあって、真理に屈し、使者の口上を篤とお聞きなされた上で、追い返すもよし、容れるもよし、御思案あったがよかろうと野衲は存ずるのじゃが……」
小六も決して、無学文盲の野人ではない。日本の国風がどういうものか、自分たちの血液が、どこから流れ伝えて来て自己となり家系となっているか、そうした国学の初歩ぐらいは、十二歳の亀一の読書にさえあることだった。