Classici giapponesi con furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Leggi 新潮記 (しんちょうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 155.541 caratteri · 305 schermate
空気が薄くなっているために呼吸が苦しい、胸膈が圧されるような、ふくらむような妙な具合である。
――あの娘はどうするだろう、頭はそのことでいっぱいだった。眼さきにはいつまでもその姿がちらついていた。あの男はたいした人物ではない、というよりもありふれ過ぎた人間だ、あの程度の浅薄な、無反省な尊王攘夷論者がうろうろするために、却って正しい道の進展が阻害されようとさえしている、それはまさにそのとおりだが、しかしとにもかくにも大義を口にすることだけは嘘ではない、あの男が第一流の人物ではない、といったところで、それはあの男の責任ではないからな、浅薄でも無反省でも、あの男はあの男なりに大義を解し、道に向って闘っているんだ、……しかも余命はいくばくもない、あの男に万一のことがあれば、娘は誰を頼りにすることもできないんだ。
――いやいかん、断じていかんぞ! 大助は決然と立ちどまった。
「早水さん待って呉れ」
「…………」
「わたしは戻るよ」吹きこむ粉雪に噎せながら、大助はまるで挑みかかるように云った、「あの二人をあのまま残してゆくのは人情を知らなすぎる、わたしにはできない、早水さん、あの男は長い命じゃない、あんたも戻ってひと休みしていっては……」