Classici giapponesi con furigana
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にほんのび
日本の美
中井 正一
Leggi 日本の美 (にほんのび) di 中井 正一 (なかいまさかず) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.126 caratteri · 187 schermate
八 美術(その二)
てもよいのではないかと思うのであります。
八 美術(その二)
法隆寺の金堂に置かれてあった、かの『玉虫厨子』はご存知でしょうが、玉虫の羽根で飾られてあったと伝えられている実に美しい厨子なのであります。
この厨子の壁に描かれている絵の題材は、仏教の『金光明経』というお経の中にある、ある物語なのであります。
谷間に飢えている虎が、まさに死なんとしている。と、菩薩の修業をしている修道者は、自分の身を投じて、その虎に与え、それを救わんとするのであります。衣をしずかに脱いでいる場面と、まさに断崖に手を撒って、中空にまっさかさまに身をおどらせている姿がそこに描かれているのであります。
真裸になり、身を飢ゆるものに投ずるという、みずから身を脱し、放ち、投げすてて、群生、もろもろの生きとし生けるものに捧げるという菩薩の道、今ごろ、アメリカでとなえられているアルトルゥイズム、「愛に身を殉ずる」というこころ、これは、日本の飛鳥時代の人々が仏教の入った時に、その中に盛られている精神の新しさ、壮大さに目をみはったところのものであったのです。
思えば、インドにはじまり、中国にひろがり、アジア一体の人々のこころを愕然と驚かしたこの神話は、日本民族の最初の工芸の中に、かかる絵の姿で捉えられたのであります。