Classici giapponesi con furigana
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にほんのび
日本の美
中井 正一
Leggi 日本の美 (にほんのび) di 中井 正一 (なかいまさかず) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 96.126 caratteri · 187 schermate
七
という事がある。未だ自らのフォームを自らが意識しているうちはそのフォームは真のものではない。いわば「岸が気にかかっている」。すでに所謂天地晦冥只水とオールとに成りきるとき、身は自ら水にアダプトして融合して一如となる。その気分の中にこそ、成長するフォーム、生身の型がある。それはコーチの百千万の警告も只閑葛藤にすぎずして、遂に伝え得ない底のものであり、耐えることの極みに於いて、働きそのもののみが告知するところのものである。ベッカーの所謂「自然の好意を経験する」とでもいうか、そこにあるものは形而上学的時間、即ちハイパーフェノーメンの領域である。「異った時間の同一の今」が、即ち流れない時がそこに只拡って行くのである。その意味でフォームは自ら産み出づる図式であり、人間の心霊の深みに隠れている技術であり、自然の内奥より窺い学ぶべき闘うこころなのである。
七
こうしてよきスポーツマンの実存は、掴得したフォームの気分を常に反覆的に繰返して味うことによってそれを熟せしめながら、しかもそれを脱落してより先に躍進せんとするところの、愈々不断の瞬間の持続である。これに反して、所謂ファン及び観覧者のスポーツ気分は、又すっかり異っている。