Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.547 caratteri · 23 schermate
「わからない筈はないでしょう、それとも、いつかお話し申した父上の御最期のことはもうお忘れですか」
そう云われて安之助はぎょっとしたようすだった。みよの顔も苦しそうに蒼ずんだ、みよは面を伏せ、低く呟くような声でしずかに続けた。
「父上は、不運な出来事のために、御奉公なかばで世をお早めなさいました、やむをえなかったのでしょう、そうせずにはいられない場合だったのでしょう。けれど……さむらいの道にはずれたと申上げなければなりません、死んでゆく父上にも、おそらくそのことがなによりもお苦しかったと思います、父上の御気性は母がよく存じています、母には、父上の苦しいお心のうちがよくわかるのです。生きるかぎり生きてごしゅくんに奉公すべきからだを、私ごとのために自害しなければならなくなった、さむらいにとってこれほど無念な、苦しいことはありません、母にはそれがよくわかるのです、どんなにおつらかったことか、どんなに御無念だったことか……」
安之助は腕で面を押えながら、耐え兼ねたように噎びあげた。
「ご生害のとき」
みよはそっと眼をぬぐいながら云った、
「父上がいちばんお考えになったのは、あなたのことだと思います、あなたが人にすぐれた武士になり、父のぶんまで御奉公をするようにとそれだけお望みなすったと思います。