Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.547 caratteri · 23 schermate
四
四
みよの決心は、けれど変らなかった。「ごしゅくんけんもつさまのいらっしゃる土地が母子の生きるべきところなのです、身の難儀ははじめから覚悟のことですから」そう云って心づよくしゅったつの支度をはじめた。
六兵衛に見送られて大井川を渡ったのは八月はじめのことだった。道次は残暑になやまされたが、さいわい水にもあたらず、安之助もすこやかに旅をつづけて四日めに三河のくに吉田(今の豊橋市)へ着いた。たやすく記せないかずかずの苦労があったけれど、その年の冬には小坂井の里に小あきないの掛け小屋をはじめることができ、どうやらふたりの口はすごせることになった。みよは安之助に少しずつ素読の口まねをさせたり、筆を持たせてかな文字を書かせたりしながら、いとまを惜しんでせっせと草鞋をつくった、海道のことで往来の人は絶え間がなかったから、それは追われるほどもよく売れた。まして六兵衛の家でならい覚えたのは、農夫が自分の使うために作るものなので、はじめから売るように出来たものとは保ちかたが違っていた、それゆえしばらくするうちすっかり評判になり、よその店を通り越しても買いに来る客ができて、僅かながら不時の用にと貯えもつめるようになった。