Classici giapponesi con furigana
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にほんばし
日本橋
泉 鏡花
Leggi 日本橋 (にほんばし) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 88.697 caratteri · 177 schermate
」
「あれは栄螺と蛤ですよ。」
これがまた少なからずこの行政官を驚かした。……その答が余り簡単で明瞭でおまけに平凡であったから。……けれども、この場合の平凡たるや、世間の名詞は、巡査のためには尽く、平凡であったろう。
巡査に取っては、魚河岸の侠男が身を投げたよりは、年の少い医学士と云う人間の、水に棄てたものは意外であった。
「栄螺と蛤。」
問返す、鼻柱かけて著しく眉を顰めて、疑惑の眼は異変に光る。
「貝類の……です。」
「いや、それはいや、それはしかしながら初めは妖怪の符牒ででもあるかに聞いたですが、再度繰返して説明をされたで、貝類である事は分ったです。分ったですが、……貴下は妙なものを棄てましたなあ。」
「放したのです、私は、」
「成程、でそれは禁厭にでもなるですかね。」
「……雛に、雛壇に供えたのを、可哀相だから放したんですよ」
「ははあ、あるいは煮、あるいは焼いたやつを。」と、わざと空惚けた事を云う。
うっかり引入れられそうだった。が、対手が巡査である事に、彼はようやく馴れたのである。
「生のままですとも。」
「何等の目的ですかね。」
「目的は有りません。」
「人間が、紳士が、いやしくも学士の名称御所有の貴下が、目的なしに、目的なしに事を行うという理由はあるまいかに考えるですね。