Classici giapponesi con furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 65.193 caratteri · 131 schermate
十月十一日
公園に蚊帳をつり、二人の子供が膝に突ぷし「母様、地球の終りじゃあないの、終りじゃあないの」と、強い揺り返しが来る度に云ったとき「其那ことがあるもんですか、大丈夫! 大丈夫!」と心強く云い乍ら、心には実に恐れに満ちた、と話される。本当にそうだろう。子供の恐怖した心持は、切な、ファントムに追われるような、大人の感情に対してよりずっとモンストラスなものだろう。
今日、甘粕事件の公判開始、世人の痛ましい好奇心をそそること大だ。九月十六日に、憲兵大尉の甘粕、大杉栄、野枝、甥、宗一を縊り死して、証拠をかくそうとした事件。
十月十一日(木曜)
野上さんのところから帰るにしとしと雨がふり始め、低い下駄で心持がわるいのでいそぎ却って曲る道を間違え、変な粂邸の裏の高い石垣の下の人通りもない坂道に出、まるで気味わるく、丸善の横へ出るまで息を弾ませて急いだ。
約束通り、野上さんと二人、庚申塚の巖本善治氏方へ、お清さんを訪ねた。前晩引越しをし、北海道の良人の郷里訪問から帰ったばかりで三日ねむらないと云う。その故か、やつれ、皮膚があれ、あの人特有であったノーブルな点がなくなった。