Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.540 caratteri · 319 schermate
「いや、別に仔細はない。七之助のおふくろは急病で死にました。お医者の診断では卒中だということで……」と、家主はおちつき顔に答えた。
「へえ、卒中ですか。ここのおふくろは酒も飲まねえのに、やっぱり卒中なんぞになりましたかね。おっしゃる通り、急死というのじゃあどうも仕方がございません。七之助、泣いてもしようがねえ、寿命だとあきらめろよ」と、三吉は七之助を励ますように云った。
七之助は窮屈そうにかしこまって、両手を膝に突いたままで俯向いていたが、彼の眼にはいっぱいの涙を溜めていた。ふだんから彼の親孝行を知っているだけに、みんなも一入のあわれを誘われた。猫婆の死を悲しむよりも、母をうしなった七之助の悲しみを思いやって、長屋じゅうの顔は陰った。女たちはすすり泣きをしていた。
その晩は長屋じゅうの者があつまって通夜をした。七之助はまるで気抜けがしたようにぼんやりとして、隅の方に小さくなっているばかりで碌々口も利かなかった。それがいよいよ諸人の同情をひいて、葬式一切のことは総て彼の手を煩わさずに、長屋じゅうの者がみんな始末してやることにした。七之助はおどおどしながら頻りに礼を云った。