Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.540 caratteri · 319 schermate
芝居や浄瑠璃にあるように、わたしを誰かの身代りにして首でも打って渡すのではあるまいか、とお蝶はまた疑った。
なにしろ、こんな薄気味の悪いところは一刻も早く逃げ出したいと思ったが、どこからどう抜け出していいか、彼女にはとても方角が立たなかった。
「庭へ出たらどこか逃げ路が見付かるかも知れない」
お蝶は一生の勇気をふるい起して、息を殺しながらそろりそろりと滑っこい畳の上を忍んであるいた。ふるえる手先が障子にかかると、出会いがしらに一人の女がはいって来た。お蝶ははっと立ちすくむと、便所ならば御案内すると云って彼女が先に立って行った。縁側へ出ると広い庭が見えた。月のない夜で、真っ暗な木立のあいだに螢のかげが二つ三つ流れていた。遠いところで梟の声もさびしく聞えた。
もとの座敷へ帰ってくると、いつの間にか其処には寝床が延べられて、雁金を繍った真っ白な蚊帳が涼しそうに吊ってあった。このあいだの女がまた何処からか現われた。
「もうお休みなさるがよい。ことわって置きますが、たとい夜なかにどんなことがあっても、かならず顔をあげてはなりませぬぞ」
手を取るようにして蚊帳のなかへ押し込まれて、お蝶は雪のように白い衾につつまれた。