Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.540 caratteri · 319 schermate
迷子札のような新しい小判がまさに十枚はいっていた。
「まあ、十両あるよ」と、お亀は眼をまるくして驚いた。いくら正直でも慾のない人間はすくない。この頃の相場では、妾奉公をしても月一両の給金はむずかしいのに、別になにをするでも無しに、美しい着物を着せられて、旨いものを食わされて、一日一両の手間賃になる。こんなありがたい商売はないとお亀は喜んでいたが、お蝶は身ぶるいして忌がった。一両はさておいて、一日十両の給金を貰ってもあんな怖いところへ二度とゆくことはまっぴらだと、かれはその後半月ばかりは病人のような蒼い顔をして暮していた。小判の顔をみてお亀も一旦は喜んだものの、よくよく考えてみると彼女もなんだか不安になって来た。お蝶が忌がるのも無理はないと思われた。
「十両の金があれば店は閑でも困らない。おまえはまあ当分は家に隠れていて、店へ顔を出さない方がよかろうよ」
いつまた連れに来るかも知れないという懸念があったので、お亀は娘を店へ出さないことにした。すると、その月の末の夕方に、お亀が店をしまってくると、留守番をしている筈のお蝶が姿をかくしていた。近所で訊いても誰も知らないと云った。