Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.540 caratteri · 319 schermate
「おい、権太、なんにも当りはねえか」と、半七は小声で訊くと、権太郎は俯伏していた首をあげて、それを左右に振った。半七は失望した。
霰はまた音をたてて降って来たので、半七はあわてて手拭をかぶって、あられに打たれておとなしく俯伏している権太郎を見るに忍びないので、彼はこっちへ来いと頤で招くと、権太郎はそっと這い起きて戻って来た。
「稲荷さまのなかでなんにも音がしねえか。がたりともいわねえか」と、半七はまた訊いた。
「むむ、がたりともごそりともいわねえよ。どうもなんにも居ねえらしい」と、権太郎は失望したようにささやいた。二人は元の空家へはいった。
「お前まだ蜜柑を持っているか」
権太郎は袂から三つばかりの蜜柑を出した。半七はそれを受け取って、自分のうしろの障子を音のしないようにするりとあけた。入口は二畳で、その傍に三畳ぐらいの女中部屋が続いているらしかった。半七はその二畳に這い上がって、つき当りの襖をあけると、そこには造作の小綺麗な横六畳があって、縁側にむかった障子ばかりが骨も紙もひどく傷んでいるのが、薄暗いなかにも眼についた。骨はところどころ折れていて、紙も引きめくったように裂けていた。