Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.831 caratteri · 396 schermate
「その侍は何者です」
「その侍は御賄組の瓜生長三郎……。このごろ家出をしたお北という娘の弟だ。いや、それはまあ後のことにして、おれがその侍と話しているうちに、一つの白い蝶々がひらひらと舞いあがった」
「ふうむ。白い蝶々が又出ましたかえ」と、留吉も眼をみはった。
「おれの鑑定では、お冬の袂から地面に一旦落ちたのを、強い風に吹きあげられて……。まあ、そう思うより仕方がねえ」と、吉五郎は説明した。「侍の持っている提灯の火で透かして視ると、その蝶々には細い糸が付いている……。細くって、光っているのを見ると、これだ、この菅糸だ。中途で切れたと見えて、やっぱり七、八寸ぐらいしか付いていなかったが、おれの眼には確かに菅糸と見えたんだ」
「その蝶々はどうしました」
「つかまえようと思ううちに、風の吹きまわしで川のなかへ落ちてしまったが、蝶々も生き物じゃあねえ、薄い紙か絹のような物で上手に拵えたんだろうと思う。暗いなかで光るのは、羽に何かの薬が塗ってあるんだな。早く云えばお化けのような物だ」
この時代には、子供の玩具に「お化け」と云うものがあった。燐のたぐいを用いたもので、それを水に溶かして人家の板塀または土蔵の白壁などに幽霊や大入道のすがたを書いて置くと、昼ははっきりと見えないが、暗い夜にはその姿が浮いたように光って見えるのである