Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.831 caratteri · 396 schermate
「小金井の桜のいいことは、かねて聞いていましたが、今も申す通り、なにぶん道中が長いので、つい出おくれていましたが、忘れもしない嘉永二年、浅草の源空寺で幡随院長兵衛の三百回忌の法事があった年でした。長兵衛の法事は四月の十三日でしたが、この三月の十九日に子分の幸次郎と善八をつれて、初めて小金井へ遠出を試みたと云う訳です。武家ならば陣笠でもかぶって、馬上の遠乗りというところですが、われわれ町人はそうは行かない。脚絆をはいて、草履を穿いて、こんにちでいう遠足のこしらえで、三人は早朝から山の手へのぼって、新宿、淀橋、中野と道順をおって徒あるきです。旧暦の三月ですから、日中は少し暖か過ぎる位でした。今から思うと、むかしの人間は万事が悠長だったのですね。途中の茶店などに幾たびか休んで、のん気に又ぶらぶら歩いて行く。それを保養と心得ていたのですよ。はははははは」
「しかしそれが本当の保養でしょう。今日のように、汽車に乗るにも気違いのような騒ぎじゃあ、遊びに行くのか、苦しみに行くのか判りません。どう考えても、ほんとうの花見は昔のことでしょうね。そこで、その時には別に変ったお話もありませんでしたか」