Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 196.831 caratteri · 396 schermate
その暗いなかで女の声がきこえた。
それがお冬の声でないことを知った時に、長三郎はまた不思議に思った。女の声は低かったが、それでも力がこもっているので、外で聴いている者の耳にも切れぎれに響いた。
「あなたのような不人情な人はない、覚えておいでなさいよ」
幸之助は何かなだめているらしかったが、その声はあまりに低いので聴き取れなかった。暫くして女の声がまた聞こえた。
「忌です、いやです。……もういつまでも瞞されちゃあいません。いいえ、いけません。あなたのような人は……。いいえ、忌です。唯は置かないから、覚悟しておいでなさい。……わたしは死んでも構わない。……あなたもきっと殺してやるから……」
長三郎はおどろいた。その女はいったい何者で、幸之助になんの恨みを云っているのか。彼は息をつめて聴いていると女は嚇すように又云った。
「わたしの口ひとつで、あなたの命は無いと云う事は、かねて承知の筈じゃあありませんか。……黒沼家へ養子に行ったのは、まあ仕方がないとしても……。隣りの娘とまで仲よくして……。いいえ、知っています」
幸之助は又もや何か云い訳をしているらしかったが、やはり表までは洩れきこえなかった。