Classici giapponesi con furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Leggi 枡落し (ますおとし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.765 caratteri · 67 schermate
よほどこたえているらしいから、いまなら証人として名のって出るだろう。五両できなければ三両、いや二両でもいい、辰あにいの気の変らないうちに、「佐野屋」まで届けてもらいたい、と幸助は云った。
拵えごととは思えなかった。幸助は御徒町の長屋を足がかりに、辻番所や差配や町役に当り、苦労してこの猿屋町の家をつきとめたという。まる三日がかりだった、というのも嘘ではないようであった。
――その人が本当に証人になってくれれば、あの人は無実で放免されるかもしれない。
本当に無実だったら、そのままにしておくわけにはいかないだろう、とおみきは思った。いまでもなにがし壱岐守という、町奉行の言葉を忘れてはいなかった。――夫婦は一身同躰という、良人がぐれだしたと知ったら、命を賭してもいさめ励ますのが妻のつとめではないか、と奉行は云ったのだ。
「そうかもしれないわ」おみきは天床を見まもりながら呟いた、「――あたしはお父っつぁんの云うままにあの人と夫婦になった、けれども愛情というものは感じたことがなかった、おうめが生れてから、おうめには身も細るような愛情を感じたし、咳ひとつしても、心配で眠れないようなことがあった、そんな気持を、あの人にもったことがあるだろうか、いいえ、あたしはあの人が、自分の亭主だと、はっきり感じたことさえなかったようだ