Classici giapponesi con furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Leggi 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.300 caratteri · 202 schermate
出水のあと、おせんのためにその住居を直して呉れたり、仕事場から出る木屑を夜のうちにそっと取っておいて呉れたり、また幸太郎の肌着にと自分の子の物をわけて呉れたり、そのほかこまごました親切は忘れがたいものである。勘十夫婦に亡くなられたいまのおせんには、殆んど頼みの綱ともいうべきひとたちであった。それがどうしたわけかこちらを避けはじめた。道などで会えば口をききあうが、それも以前とは違ってよそよそしく、とりつくろった調子が感じられた。――いったいなにがあったのだろう。なにか気に触るようなことでもしたのだろうか。考えてみたけれどもそれと思い当ることはなかった。
もうかなりおし詰ってからの或る日、おたかが珍しく訪ねて来たので、しかけていた夕餉のしたくをそのままに出てゆくと、彼女はいっしょに伴れて来たらしい中年の男に振返って、この家ですよと云った。男は四十五六になる小肥りの躯つきで、日にやけた髭の濃い顔にとげとげしい眼をしていた。
「おせんちゃん、このひとは下総の古河からみえた方でね、お常さんの実の兄さんに当るんですってよ」
「まあおばさんの、――それはまあ……」